大介’s Bird's-eye Map
青山大介の鳥瞰図
鳥瞰図“ちょうかんず” ——この言葉は英語の“Bird’s-eye view”を直訳したものです。「鳥の視線で見た景色」。文字通り空から見た景色になるのですが、あまりに言葉の意味する範囲が広く、普段から鳥瞰図的な絵や写真を目にしていても、人はそれを“鳥瞰図”だという風には認識しないことが多いと思います。
日本での鳥瞰図の歴史は古く、著名なものでは室町・江戸期に多数描かれた「洛中洛外図」。江戸期後半から明治初期にかけて浮世絵師の歌川貞秀。そして大正昭和初期に全国的な鳥瞰図ブームを巻き起こした吉田初三郎の活躍があります。
私は高校時代に鳥瞰図絵師 故 石原正(1937-2005)の作品と出会い大きな衝撃を受けました。石原正の鳥瞰図は地形図をベースにした遠近感のない都市の鳥瞰図が特徴で、それぞれの尺度に応じたビルの高さ、階数、窓の数、街路樹の樹種や位置、本数を実際のまちのとおりに描いた作品です。これは製図の技法のひとつ“アイソメトリック”(等角投影図法)を都市全体に応用したものです。
常に変化し続ける都市の姿を切り取って残すことは、今の時代よりも未来の人びとへのプレゼントだと思っています。
私自身も石原正の作品に倣い、氏がこだわり抜いた点を再現し、また自分なりの新たなこだわりを見つけ、一作一作の鳥瞰図作品に取り組んでいます。